『古屋に降る雪』のワンショット!
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前回までのあらすじは・・・ コチラ
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猿リーマンは目を覚ました。
夢から覚めたはずだが、ふとベッドから窓を覗くと、
就寝前に見た、陽気な青い色をした空は、
すっかり妖気な灰色に様変わりしていた。
東京ダウンタウンは引き続き、雪景色。
寝起きだからだろうか?
『もわもわ』とした、浮遊感。
脳内を魚が優々と泳ぎ回ってるような感覚だ。
ココが夢と現実の狭間か?
夢でも現実でも、どちらにしても・・・
魚は泳ぐのをやめてしまったら、死んでしまうんだ。
間カンペイは走ってないと死んでしまうんだ。
そんな精子なハザマ、カンペイ!
もとい、そんな生死の狭間に乾杯!
性器だけは人一倍ある、もとい、
生気だけは人一倍ある、猿リーマンは、
灰色の空の妖気の仕業か、はたまた、夢と現実のハザマに挟まって正気を失ったか・・・
いや、もともと正気なんてモノは持ち合わせていなかったが、とにかく、動かなくては死んでしまう、
という不安に襲われた。
今、何時だ?
部屋には時計が存在しない・・・8畳空間だけど、4次元空間。
僕、ドラえもんに憧れる、猿リーマンは、
手探りで携帯を探す。
15時03分。
まだ、間に合う。
出社前の朝のリーマンのように、
凄いスピードで服をきて、雪色のi-podをジャケットにぶち込んで、携帯片手に家を出た。
はぁ~・・・。
もわもわ泳いでいた、脳内の魚が、口からもわもわと出てきて、
そして、消えた。
その消えた魚が向かった先に見えたのは、
今にも雪の重さに負けそうな古屋と、煌々と光る教会のハザマ。
東洋と西洋のハザマ。
良いねぇ~、良いハザマだよ。
もっと、寄せてあげてみようかぁ。
あっ、それは谷間かぁ?
と、3流カメラーマンのようなセリフを心で呟きながら、
猿リーマンは激写MAX!
東京ダウンタウンに降った雪は、古きも新しきも、東も西も、覆い隠し
互いのハザマを埋めて、美を産んでしまったのだ。
全てを白とする。全てを疑わない。
これほど、妖気を帯びた灰色な空のおかげで、こんな美が生まれるなんて、
謎だ。
納得がいかない、猿リーマンは、さらに足を進め、
東京ダウンタウンを覆った、灰色の空に吸い込まれていった。